実は、無痛分娩は「完全な無痛」ではありません。
無感覚なまでの「完全な無痛」も技術的には可能ですが、陣痛微弱になりやすく、分娩進行の妨げになったり、陣痛感覚が得られないため赤ちゃんが出てくるときの“いきみ”がうまくできなかったりします。
したがって、陣痛感覚は残しつつ、痛みは十分に取れている状態が目標です。
実は、無痛分娩は「完全な無痛」ではありません。
無感覚なまでの「完全な無痛」も技術的には可能ですが、陣痛微弱になりやすく、分娩進行の妨げになったり、陣痛感覚が得られないため赤ちゃんが出てくるときの“いきみ”がうまくできなかったりします。
したがって、陣痛感覚は残しつつ、痛みは十分に取れている状態が目標です。
無痛のお薬が理想的に効いていると、赤ちゃんの位置がまだ高く、子宮口があまり開いてない段階では、痛みが十分和らいでいます。
赤ちゃんが下がってきて、子宮口がいっぱい開いてくると、少し痛みを感じるくらいになります。
しかしその痛みは、無痛のお薬を使わない場合に比べて比較にならないほど穏やかなものです。
その痛みに合わせてしっかり “いきめ”ば、十分な “いきみ” となります。また、お薬がよく効いているかたは、若干 “いきむ” タイミングがとりづらく、最初戸惑うことがあるかも知れません。
その場合は助産師さんがやさしく “いきむ” タイミングを教えてくれます。それに合わせて落ち着いて “いきん”でみてください。何回か繰り返せば、必ずうまく “いきめ”ます。
2022年は577名、2023年は591名の患者様が無痛分娩で出産されています。
これは帝王切開を除く分娩の8割以上となっています。
無痛分娩を希望される患者様は年々増加傾向であり、当院で出産された患者様の半数以上が無痛分娩による出産でした。
項目 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
年間総分娩 件数 | 901 | 937 | 906 |
経膣分娩 件数 | 735 | 756 | 726 |
帝王切開 件数 | 155 | 182 | 176 |
無痛分娩数 | 523 | 577 | 591 |
無痛分娩率(1) | 58% | 61.6% | 65.2% |
無痛分娩率(2) | 71.2% | 76.3% | 81.4% |
無痛分娩には、すべて計画分娩で行う場合と、自然陣痛を待ってから無痛分娩にする場合とがあります。
岩田病院は原則として後者を中心にしています。
自然陣痛の発来は、昼夜休日を問わずですから、岩田病院の無痛分娩も同様に、昼夜休日を問わず、365日24時間対応で対応しています。
また、無痛分娩に限らず休日・夜間複数の医師で帝王切開などの緊急事態に対応しています。
帝王切開が増えることはありません。
当院では、自然分娩でスタートして、途中から無痛分娩を希望される患者様がかなりたくさんいらっしゃいます。
しかし、正確なデータはありませんが、無痛分娩の場合に、陣痛の痛みに耐えきれずに帝王切開を強く希望される患者様というのはほとんどいらっしゃいません。
そういうことからも、無痛分娩の方が、帝王切開は減るのではないかという実感は持っております。
陣痛が始まってから赤ちゃんが出てくるまでの時間は、無痛分娩の場合には少し長くなる傾向があります。
特に、子宮口がいっぱいに開いてから赤ちゃんが出てくるまでの時間が、自然分娩よりもかかりやすいようです。
しかし、それは赤ちゃんに影響を及ぼすものではありません。また、陣痛が来ている間も痛みは穏やかで、極端な場合はその最中に睡眠されている患者さんもいらっしゃいます。
無痛分娩は、全く意識には影響を与えず、通常時と変わりません。
また身体の感覚も通常通りで、赤ちゃんが出てくる感覚もはっきりわかります。
無痛分娩の場合でも、下肢は十分に動きます。
しかし無痛分娩中の歩行については、転倒の危険があるため、やめてください。
トイレに行きたい場合は、助産師が介助します。
半分以上のかたが、会陰縫合時に痛みを感じないとおっしゃっています。
しかし時に軽度の痛みを感じることがありますので、その場合は局所麻酔を併用します。
長い間お母さんのおなかのなかで育ち、この世に生まれてきた赤ちゃんは、お母さんにとってとても可愛くそして愛おしいものです。
そのお母さんの赤ちゃんに対する思いは、当然ながら陣痛の時の痛みの強弱で変わるものではありません。